相続においても認知症を放置すると危険!
意外と知られていない相続における認知症リスク
多くの方が認知症対策と言われて想像することは、認知症にならないような健康管理だと思います。
しかし、財産(実家、預貯金、株式等々)においても認知症対策をしておかないと大変なことになってしまうリスクを抱えていることはご存知でしょうか?
認知症を発症してしまうと、預貯金を銀行口座から出金することも、施設に入るために実家を売却することも、事業承継をするために株式を贈与・売却することもできなくなってしまいます。
多くの方が「自分は大丈夫」と考えていますが、実際に認知症になってしまう方は4人に1人もいると言われているほどで、財産の認知症対策は誰にとっても他人事ではありません。
相続において認知症を放置するとどうなるのか
相続人に認知症の人がいると遺産分割協議を開く事ができない
認知症の相続人は、遺産分割協議に参加できない
遺産分割協議とは、割合に基づいて定められる相続分に基づいて、具体的に、「誰が・どの財産を取得するか」を決めることです。
遺産分割協議も重要な法律行為の一つなので、認知症が進行している人を当事者として遺産分割協議に参加させ、遺産相続方法を決めることは許されません。
親族でも勝手に代理で遺産分割協議を進めることは許されない
事前に代理権を与えられていないので、親族であっても本人の代理で勝手に遺産分割協議を進めることは不可能です。
認知症になった相続人を外して遺産分割協議をしても無効になる
認知症になった相続人が遺産分割協議に参加することも親族が代理することも不可能なのであれば、認知症になった相続人を外して他の人だけで遺産分割協議をできないか?と考えるかもしれませんが、それも不可能です。
遺産分割協議は、法定相続人が全員参加しなければならないからです。
認知症になっても相続権を失うわけではないので、認知症の方を外して遺産分割協議を進めても無効になります。
認知症の人は相続放棄することができない
認知症の方は相続放棄をすることもできません。
相続放棄も法律行為の1つであり、判断能力が欠如しているとされている認知症の方は法律行為をすることができません。
認知症の方がいる場合の手続きの進め方
相続人に認知症の方がいる場合、後見人(認知症の方の代理人)を家庭裁判所選任のもとに決めて手続きを進めていく必要があります。
その後に後見人が必要書類に署名捺印して相続手続きを進めて、財産の名義変更などができるようになります。
※この場合の後見人には、成年後見人、保佐人、補助人など、認知症の方の程度によっても、後見人の種類が変わることがあります。
なぜならば、相続手続きを行うためには、相続人全員が遺産分割に同意していることが前提となるからです。
相続人としての意思表示が出来ない方がいる場合、手続きを進めることが出来ないため、後見人を選任することが必要になります。
成年後見人の選任手続き
認知症の方の代理人となる後見人の選任は、家庭裁判所で行われますので家庭裁判所に対して後見人選任の申立てを行う必要があります。
そして、その後に家庭裁判所の判断により成年後見人が選任されることになります。
後見人が選任されるには、認知症の方の鑑定等が必要な場合もあり、選任されるまでに一般的には2~3ヶ月程度の時間がかかります。
相続手続がスムーズに進めるためには、早めに司法書士などの専門家にご相談いただく必要があります。
相続における認知症対策とは
認知症の相続人は遺産分割協議に参加できないだけでなく、相続放棄もできませんし、他の相続人の財産分割に影響を及ぼしてしまいます。
では、どのように対策をしていけば良いのでしょうか。
民事信託(家族信託)を利用する
民事信託は、本人が元気なうちに次の代で資産管理する人に財産管理をする権利を移すことで、万が一認知症になった場合も安心して認知症対策・相続対策を継続していくことができます。
使い方も自由な面が多く、民事信託を契約しても実際に認知症を発症するまでは財産の権利をそのままにしておくこともできます。
解決事例
認知症になると、自宅の売却が出来なくなります。
将来空き家になりそうなご自宅を認知症対策としてあらかじめ、他の方が管理・売却できるようにして、いざ認知症になった際にはそのご自宅を売却して老人ホームの費用に充てるという方法を選択される方も増えてきています。
認知症対策として、ご自宅を民事信託(家族信託)した事例はこちらをご覧ください。
「母名義の自宅マンションを家族信託し、母の老人ホームの費用が不足する場合に備えた」
成年後見制度を利用する
成年後見制度とは後見人と呼ばれる人物が本人の代わりに不当な契約や財産管理をする制度です。
成年後見制度には任意後見と法定後見の2種類があります。任意後見がまだ判断能力がある段階で後見人を決めるものであり、法定後見が既に判断能力が損なわれている段階で決められるものです。
遺言を作成してもらう
遺言書を作成して貰うと被相続人の意思を反映して遺産を分割することができます。
認知症の方が自分でできない申請などもありますので、認知症の方は相続人から外すなどの方法が考えられます。
まとめ
やるべきことを先送りするほど、将来手続きができなくなるリスクが高まります。
せっかく先人が残してくれた遺産ですから、複雑な相続手続きになる前に、きちんと相続手続きをして、さらに後世へ伝えていきましょう。
相続手続きは、先送りにすればするほど、将来、手続きが煩雑になり、場合によっては、それが相続争いの原因になりかねません。
相続の手続は、年金手続き、保険金の請求、預金口座や不動産の名義変更など多岐に亘り、代表的なものだけでも90種類以上あると言われています。
相続手続きの方法が分からない、平日忙しくてなかなか時間が取れないという方もいらっしゃると思います。そういった方にはまずは当事務所に無料相談してみてはいかがでしょうか。
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この記事を担当した司法書士
山崎司法書士事務所
代表司法書士
山崎 哲
- 保有資格
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司法書士・民事信託士
- 専門分野
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相続 遺言 生前対策 民事信託
- 経歴
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埼玉県川口市の地におきまして、開業以来、18年以上にわたって、近隣の市民の皆様からたくさんの信頼をいただき、特に、相続と遺言書の作成に力を入れて、真面目に取り組んで参りました。
同時に、地元の金融機関や税理士・土地家屋調査士・行政書士の先生方からも、多大なる信頼をいただき、広範囲な業務を行って参りました。
難しい相続・遺言の手続きを「わかりやすく」をモットーに「やさしさ溢れる応対」を心がけていますので、お気軽に、ご相談ください。